【寄稿】体験農園に勤しんで

Pocket
LINEで送る

体験農園に勤しんで

我が家が体験農園を始めたのは2ヶ月前。
だから大した経験談ではない。
だけど、今、夢中であるのは事実だ。

我が家には小学2年生の一人娘がいる。
コロナ禍でどこにも行けず、妻が畑での野菜作りを提案してきた。

畑を持っている親戚もおり、そこを借りる手もあった。だが、借りてすぐにやめる可能性もあり、そこでやるのはハードルが高い。しかも、そこは、畑に行くまでに結構な距離を歩かねばならず、そこまでの道の整備も必要である。水の便も悪いし、トイレもない。私に、そのハードルを越える自信はない。

やはり今のレベルで、いきなり「普通の畑」は不可能である。結果、私が求めた体験農園は、5m×5mの広さで、園内には子供たち向けの遊具もある公園の一画だ。水もトイレもあり、休憩所まで完備している。私たち素人には、抜群の条件だ。

すぐに契約した。
最初は雑草抜きから。
家族3人と、妻の母まで来て3時間。雑草はすぐに無くなった。
土は、園の方が作ってくれていたので、次の作業は、畝づくり。

愛読書の「野菜の育て方」によると、野菜には高畝が良いものとそうでないものがあるらしい。しかし、ネットを見ると、いろいろと見解が分かれる。しかも、野菜ごとではなく、品種によって違うというようなことまで書いている。

何が正解か分からない。
私が決めるしかないということだ。

サラリーマンをやっていると、重大事項は、必ず上司の決裁がいる。
久々に、自分だけで重大事項を決める快感を味わった。

畝を立てた。思ったよりきれいにできた。ただ、形にこだわりすぎて、少々、土を固めすぎた。
野菜の苗付けは、妻と娘がやった。苗付け間隔は、本とインターネットを総動員して、私が設計図を作った。

あまりの細かさに、みんなが笑ったが、私は私で楽しかった。

夏野菜は、育ちが早い。最初にチンゲン菜が穫れた。
見事な出来だった。私なりには。

私は、土日しか畑に行けない。我が家の畑のルールに「野菜は最高の状態で収穫するのではなく、食べられる状態になったら収穫」というものがある。一週間待ったばっかりに、大事な野菜を虫や鳥に渡すわけにはいかない。また、虫や鳥対策に、安易に薬品を使いたくない。
どうにかして知恵で勝ちたい。

カラスには、黄色の釣糸が良いというので、畑を釣糸で囲った。
虫は銀紙が苦手というので、そこら中に巻いた。

そしたら、自分が畑に入れなくなった。

そんなことを繰り返しながら、次々と、作物が育ってくれた。

キュウリやトマト、ヤングコーンは畑で食べた。絶対にスーパーでは買えない味だ。
5m×5mの畑で、11種類の野菜を育てているが、毎週、新しい作物が収穫を待っていてくれる。
私は、畑に出会って大きく変わった。たった2か月であるが。

それまでの私の週末は、仕事のことを考えていた。土日に仕事を離れるのが怖いのだ。
いろんな人から、週末くらい仕事のことは忘れなさいと言われたが、どうやっても頭から離れない。
ゴルフをやっていたこともあったが、練習やラウンドで、家族との距離ができるのでやめた。
でも体は動かした方がよいので、ウォーキングを始めたが、続かなかった。

畑に出会って「これだ!」と思った。

土日も仕事のことを考えていた自分が、今では平日も畑のことを考えている。どうやっても土日出勤は避けようと、ものすごいスピードで時間内に仕事を片付けようと思っている。何だか前より、仕事ができるようになった気がする。

畑を通して出会った人も私を癒してくれた。畑を愛する人は優しいのだ。種を蒔いて芽が出るだけで幸せを感じる人ばかりだ。畑というものは、人と競い合う必要がないのだ。

今思えば、妻は、娘のためにと畑を薦めたが、本当は私のために言ってくれていたのだと思う。

今日も、我が家では、秋植えの野菜について会議を行う。
実りある会議だ。

 

前の記事

9/14(火)から営業再開