【寄稿2】夏野菜を振り返って

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夏野菜を振り返って

体験農園を始めて、4か月が過ぎた。
少しずつ、秋の風が吹いてきた。

夏野菜を振り返って夏野菜は、大成功だった!
ゴールデンウィークに植えた野菜たちは、見事に育ってくれた。
トマトにキュウリに、ナス、ピーマン。
食卓を華やかに彩った。
少し、時期遅れに植えたスティックセニョールも何度も食卓に登場し、今では娘の大好物になっている。


週末は、ほとんどの時間を畑で過ごした。
特別に何かするというわけではない。水やりと雑草抜き、たまに肥料をあげるだけだ。
週末にしか行けないから、野菜の成長が良く分かる。元気に育つ野菜たちを見ているだけで幸せになる。

夏野菜は、成長が早く、あっという間に収穫期が訪れる。
収穫は、妻と娘の仕事だ。
5m四方の畑だが、11種類の野菜を育てた。
私は、実がなっていく過程が好きだが、妻たちは収穫が楽しそうだ。

夏野菜を振り返って娘の友達家族を呼んで、小さな収穫会を開いた。
トマトやキュウリを収穫し、楽しんでくれたようだ。
キャベツの出来が良かったので、根元をスパッと切るところを見せ場にするつもりだったが、ナメクジがたくさんいて、それどころではなかった。


夏野菜栽培中、忘れられないショッキングな事件が起きた。

とうもろこしが、収穫前日に、獣らしきものに食べられたのだ。
本当に、収穫前日なのだ。

妻は落ち着いていた。
「自然を相手にするのだから仕方がないよ。」
私はそれほど寛容ではない。妻がなぜ許せるのか分からない。
動物による被害は、ある日突然起こり、耐え難いショックとなる。

秋には、娘が好きなイチゴを植える予定がある。どう考えても獣が好きそうだ。

家族に電気柵の設置を提案した。

私の怒りは、家族にも伝わると思っていた。

しかし、家族は反対のようだ。
娘は、動物が可哀そうの一点張り。
妻も「電気柵は、なんか違和感あるよ。すごく攻撃的だし…」と言った。
攻撃的…?
話し合いで解決しろとでも言うのか?

家族との議論は白熱した。
話すうちに、妻の気持ちもだいぶん分かってきた。
妻はよく、「なるようになるし、なるようにしかならない」と言ってくれる。
熱中し過ぎる私への思いやりだ。

家族会議の結果、電気柵は見送りとなった。
自然相手なんだから、なるようにしかならない。
防獣網で様子を見ることになった。

畑を始めてから、家族と話す機会が増えた。
畑は奥が深く、分からないことだらけだ。どうしてもみんなの意見が聞きたくなる。本当によく会議が開かれる。
だけど、前向きで、夢いっぱいの会議だ。

畑を始めて、いろんな人と出会った。みんな本当に優しい。
近くの畑の大先輩は、たくさん獲れたと、大切な野菜を分けてくれる。自分で作った野菜も確かにおいしい。だけど、大先輩の野菜は、ベテランの味がする。

この農園は公園の一画で、公園の職員さんも温かい。
入場ゲートの方や売店の方、事務の方からお弁当屋さんまで、私を見つけると、微笑んで挨拶してくれる。
台風の時は、開ロー番、「今回は大丈夫みたいよ。よかったね」と言ってくれた。
私より先に、私の畑を見に行ってくれているのだ。

畑を始めたことで、自然の大きさや人の心の優しさに気が付くことが増えた。

週末が待ち遠しくて堪らない!