【寄稿3】秋の植え付け会議

Pocket
LINEで送る

7月の終わりに、我が家で重大な会議が開催された。
議題は、秋の植え付け。

畑は5m四方。
夏野菜の経験上、15種類までなら栽培は可能だ。
実際、15種類植えると管理は大変になるが、収穫に変化が出て、喜びが広がる。

家族に意見を聞く前に、炎天下の中、積極的に水やりを手伝ってくれた妻の母の要望だけは叶えたい。


妻に聞くと、ニンニクが欲しいようだ。
1種類目はニンニクで確定だ。平戸ニンニクに挑戦しよう!

ここから、会議は難航した。

妻は、夏の収穫で娘の大好物になったスティックセニョールを第一候補に挙げてきた。
さらに、キャベツやコマツナも追加要求してきた。
全部、アブラナ科だ。
アブラナ科の野菜は、同じところに植えると、連作障害で病気になりやすい。

娘はイチゴを推してきた。お友達を連れて、いちご狩りがしたいそうだ。
しかも、畑にイチゴがあるとかわいいと言ってくる。
畑に「かわいい」は必要なのか?
イチゴは栽培期間が長いので、管理上のリスクが大きい。

急に妻と娘の顔がつまらなそうになってきた。
いちいち批判を差し込み過ぎた。
小さな男だと言わんばかりの目で私を見ている。

たしかに夢のない話ばかりだ。

そうだ!畑に必要なのは夢なのだ!
娘が、美味しそうにスティックセニョールを食べる姿。
自分たちの畑で、いちご狩りをする姿。

夢を描けるから楽しいのだ。

こうなったら、彼女たちの願いをすべて受け入れることにしよう。


アブラナ科は、夏は左側の列に植えたので、今回は右側の列にすればいいだけだ。
畑に「かわいい」があれば、女子の気持ちは上がる。いつだって女子は、かわいいものが大好きだ。

一家の大黒柱として、「小さな男」のレッテルだけは絶対に返上しなければならない。

スティックセニョールはシュンギクと相性が良い。
キャベツには、レタスが合うそうだ。
コンパニオンプランツというらしい。

今回のテーマはコンパニオンプランツにしよう。
ニンジンはダイコン。ホウレンソウはネギ。
だんだん、決まってきた。

そして、だんだん話が盛り上がってきた。

シュンギクとネギがあるなら、ハクサイも欲しい!
妻の頭の中に、すき焼きが見えている。

ニンジン植えるなら、タマネギとジャガイモは?
娘はカレーライス。

この勢いが続けば、肉牛飼育まで考えなくてはならない。

肉牛飼育はともかく、概ね受け入れることにした。
器の大きな男ですから。


最終的に、これらの案に、カブやエンドウなどを入れて、全部で15種類になった。

このような会議は我が家でしばしば開催される。とても有意義な時間だ。
家族で、ひとつの目的に向けて話をするのは本当に楽しい。

会議後、みんな良い顔をしていた。
みんなそれぞれ、冬の畑にいろんな夢を膨らませているのだ。
娘は、さっきからイチゴのお絵描きに夢中になっている。

早く作付け図を作らねば!
そして、必ずや収穫までたどり着き、父親の大きさというものを感じて頂こう。